(夢)

夢にて。一人の女の子の話を聞いている。柱時計がこの頃おかしい、と言うので、どんなふうに、と聞いたときのことだ。わたしのお父さんとお母さんがなくなってから、それから十二時になると十五回も鐘が鳴るようになってしまったの。彼女が言い終わらぬうちに、わたしの耳にはその声と共に鐘の音も入り込んだ。お父さんとお母さんのたましいが合わさっても十四回であろうに、なぜ十五回なのだろうか、という瞬間通り抜けようとした疑問に対して、ああそうか、この女の子のたましいも入っているのか、と妙に強く納得した。