先日、世田谷美術館分館での写真展を見に行った。そこで展示されているアルバムに、鎌倉、江ノ島あたりの写真と共にあったメモに、「お月様」ということばを見た。あまりに透明に響いて、思わずどきりとした。これほどに闇と、そのやさしさをも匂い立たせることばと文は、そうそうないだろう。部屋の木のにおいが変わった気がした。