2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

門を抜ける

夜、歯を磨きながら鏡に映るじぶんを見ていた。むかし歯の磨き方が下手、と散々歯医者に罵られたせいで、それ以来やたらと凝って磨くようになった。おかげで罵られることはなくなった。いつも通りにやっていて、ふと、奥の方を磨くときなど、手首をひねらせ…

革命を叫ぶ女

年賀状を二枚買った、この二枚だけ書けばなんだかもうそれで事足りそうだ。硬貨一枚ですませられればそれにこしたことはない。道々文面を考えていると、牛馬のごとく働くことが出来ないので、キューバのごとく革命をしたいと思います、というフレーズがひら…

かさなる

だれかと目があって、それがあまりにかっちりとした具合であったのに、すぐに外れた。外れたまま、再び合うことはなく、わたしも合わせようとはしなかった。そのだれかがどんなひとだったのかを忘れてしまった。知らない女性なのだが、いったいどこでの出来…

層について

半年ほど前、大学院への緊張感と倦怠が強かった頃で、ヴィタミン注射をよく打っていた。そのために近所の診療所へと通っていた。半年間あいだがあいて、再び訪れた。ヴィタミンではなく、予防接種である。診察室に通されて、あのとき大丈夫でしたか、注射の…