2009-01-01から1年間の記事一覧

教訓はなく感嘆符

ある街に行ったら古本市が開かれていた。いくつかのお店を回っているうちに多和田葉子の「きつね月」が三百円で売られていて、これは、と勇んで、ください、と硬貨をつかんで声を掛ける。パラフィン紙というのか、ちゃんと掛けられていたのですこしばかりう…

先日、世田谷美術館分館での写真展を見に行った。そこで展示されているアルバムに、鎌倉、江ノ島あたりの写真と共にあったメモに、「お月様」ということばを見た。あまりに透明に響いて、思わずどきりとした。これほどに闇と、そのやさしさをも匂い立たせる…

昨日の新聞に載っていた青白い彗星の写真を見て、星になりたいとか呟いていた。母がそれをきいて、あなたはまだそんなことを言ってる、もう二十四にもなるっていうのに、と言った。はっと気づいて、それでもやっぱりそう思っている。十五、六のころもそんな…

「世情」を歌う

大学院の友人の家を夕刻尋ね、ゆっくりと飲み始めた。土曜日のことである。この頃、といっても夏だったらしいのだが、キャンパスの近所で自炊をはじめた彼の住まいを尋ねるのははじめてである。引っ越しのことを聞いたのも十二月で、六月辺りから学科も違っ…